カメラレンズ紹介 – SIGMA STANDARD-ZOOM 35-70mm F/2.8-4 MC

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オマケ?で付いてきたレンズの実力は??

こんにちは、リゲルインテリジェンスです。

「フィルムカメラのデジタル化」のための部品取り用に手に入れたPENTAXのカメラにレンズが付属していました。「SIGMA STANDARD-ZOOM 35-70mm F/2.8-4 MC」、マニュアルフォーカスのズームレンズです。
おそらく1980年頃の製造で所謂「サードパーティ製互換レンズ」です。当時は単焦点の50mmが「標準レンズ」として、カメラボディとセットで売られるのが普通でした。35〜70mmのズームレンズは50mmを中心として、ちょっと広く&ちょっと望遠をカバーするレンズとして、各社ラインアップにあったと記憶しています。

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レンズ構成:8群8枚 絞り羽根6枚 最短撮影距離0.5m フィルター52mm

私個人としては明るい50mmの単焦点レンズが好きだったこともあり、購入候補には全くならなかったタイプのレンズです。今回入手したものはレンズにカビ&クモリ有りで外装の汚れも酷かったため、そのまま処分するつもりだったのですが「レンズとしての出来はどうなのだろう」とふと思い、分解&清掃してみることにしました。

まず、レンズ前玉から外していきます。当時のレンズの構造の常として、前面の飾りリングを外す→前玉の押さえ部分が出てくる、ですので飾りリングを反時計方向に回して外します。

、、外れません。材質は見るからに樹脂なのですが接着されているようです。ネジ部分にアルコールを注して暫く待ってから、割れたらイヤだなと思いつつ少し力を入れて回すと「パキッ」という音と共に外れました。リングは割れなかったです、良かった。(ちなみにPENTAX-M 50mm F1.4は飾りリングもアルミなので安心感あります、当時の樹脂は弱いので)

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飾りリングを外すとレンズ前玉のエッジが見えます。つまり樹脂の飾りリングだけでレンズを固定しています。そのままポロッと前玉が外れてきます。前玉だけでなくその後のレンズもどんどん外れてきます。

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レンズ → スペーサー → レンズ → スペーサー、、の順番で前群のレンズ全てが外れて絞りが丸見えになります。

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樹脂の飾りリングが劣化して使用中に外れでもしたら、前群のレンズ4枚が一気に落ちてきます。恐ろしいです。。

前群のレンズをクリーニングしたら次は後ろ側です。マウントのネジ3本(PENTAX純正だと5本なので少々不安)を外すと、絞りリングを含めたマウントユニットとして外れてきます。これは他のマウント(ニコン用とかキヤノン用とか)との違いをこのユニット部で吸収するためで、色々なマウントに対応するための互換レンズ特有の構造です。

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後群のレンズはユニットごと外れるシンプルな構造ですが、この後群レンズを支えるフレームが樹脂製です。当時はエンプラといってもABSで今ほど強度はありません。

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ズームリングを回すことでこの後群レンズフレームも動くのですが、フレームを支える内部のカムリングは金属(アルミ)でしっかりできていることもあり、応力が集中して変形し動きが非常に渋くなります。

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外側のズームリングそのものも樹脂製でありズーミングではレンズ前群と後群の両方を動かすため強い力がかかり、やはり応力変形して動きが渋くなります。ピントリングは金属製で内部のヘリコイドももちろん金属製ですので、適切にクリーニング&グリスアップしてあげれば非常にスムースに動きます。

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後群レンズフレームとズームリングが金属製であれば、操作感はずっと上がると思います。残念です。
動きの渋さがなるべく出ないように、ズームリング周辺にグリスを多めに塗布して組み付けました。

いくつか残念なところもあった本レンズですが、クリーニングしてみると外装はほとんどキズも無く綺麗でした。レンズはカビ痕とクモリが取れなかったため実用には向きませんが、とりあえず手持ちのデジカメに付けて試写してみることにしました。が、レンズが取り付きません。PENTAXのKマウントは互換性があるはずなのに??

手持ちの純正レンズ(画像右側)と比べてみると絞り操作レバーのガード部分の位置と形状が異なっていて、デジカメ内に後から増設された端子部分に干渉しているようです。ガード部分をニッパーでカットして取り付けることが出来ましたが、古いレンズではこのような互換性問題もでるのですね。

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手持ちには35〜70mmのズームレンズはありませんので、ちょっと酷かもしれませんが焦点距離の近いPENTAX-FA31mmF1.8ALとPENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8と比較にてみました。いずれもJPEG撮って出し、リサイズのみ行っています。

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左:SIGMA STANDARD-ZOOM 35-70mm、35mm F2.8 1/125sec ISO1600
右:PENTAX-FA31mm、F2.8 1/125sec ISO1600
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左:(中央部拡大)SIGMA STANDARD-ZOOM 35-70mm、35mm F2.8 1/125sec ISO1600
右:(中央部拡大)PENTAX-FA31mm、F2.8 1/125sec ISO1600

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左:SIGMA STANDARD-ZOOM 35-70mm、70mm F4 1/125sec ISO1600
右:PENTAX-D FA MACRO 100mm、F4 1/125sec ISO1600
sigma70pentax100
左:(中央部拡大)SIGMA STANDARD-ZOOM 35-70mm、70mm F4 1/125sec ISO1600
右:(中央部拡大)PENTAX-D FA MACRO 100mm、F4 1/125sec ISO1600

SIGMAレンズはクモリのせいでコントラストの低い(眠い)画像になっています。そのことを差し引いても35mmでは全体的に甘いですね。反面、70mmの解像感はなかなか頑張っています。クモリが無ければかなり良い写りをしそうです。

それにしてもFA31mmの描画は素晴らしいと思います。良いレンズだと再認識した今回の実験でした。

smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited / 広角レンズ / Kマウントレンズ / レンズ / 製品 | RICOH IMAGING
RICOH IMAGING Kマウント広角レンズ/smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limitedのページ。広角の表現に新しい可能性を拓く31mmの焦点距離。

 

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